
私が勤めているのは小売業界で、職種は販売および発注業務を担当しています。現在の年齢は42歳、年収は260万円、仕事内容はコンビニエンスストアの売り場における接客・販売や発注・陳列を行なっています。
コンビニエンスストアでは一口に発注業務と言いましても、鮮度の短い「デイリー品」鮮度の長いものや雑貨などの「非デイリー品」に分かれていて私は主に「デイリー品」の発注を担当しています。
【 コンビニエンスストア業界の問題点 】
- 地域によっては店舗数が飽和状態になっている
- スーパーやドラッグストアなどの新たな競合との競争にもさらされている。
- 飽和状態になっていることによる人手不足
- 特に早朝や夜勤シフトの人手不足が深刻なレベル
- 取り扱うサービスの多さや業務の複雑化がスタッフ教育の難易度を高めている。
このような点が挙げられます。
コンビニ業界にどこまでAIが実装されるか?
コンビニエンスストアにおいては発注業務が最もAI化の影響や恩恵を受ける業務だと感じていますし、技術的にはほぼ実装可能なレベルに達しているようですが
AI化が進むことで「商品の提案力」が下がり店舗ごとの個性が薄れてしまうという考え方から、現在のところAI発注の実装は予定されていないとの事です。
一方接客や販売におけるAI化も「AIレジ」と「電子マネー」が広く浸透・普及することで業務の簡略化が図れる可能性があると思っています。
逆に陳列や清掃といった業務は当分人間による労働力の代替になる技術は実装されないのではないかと感じます。
コンビニエンスストアにおけるAI化・省力化の結果給料が上がるのかと言われると即時に上がる事はなさそうだなと思われます。
その理由として現状のコンビニエンスストア経営が多くの店舗で損益分岐点ギリギリの状況であると思います。
コンビニはAI導入よりも人件費の方が安いという矛盾がある
その続きではなしますが、実際にどこよりもAI導入が簡単なコンビニになぜここまで人の手をかけているのか?というと結局人件費の方が安いからという根本的な理由によります。
都内の多くのコンビニ店員は外国人ですが、かなり時給をおさえてもコンビニで働きたい人は後を絶ちません。
ここが根本的な原因だと思っています。
AI化を進めるにあたっての投資を回収する目途が立たない限り給料が目に見えて上がるという事は考えにくいのではないでしょうか?
仕事のニーズにつきましては、業務の簡略化により現状に比べれば若干ニーズが上がる可能性はあるかとは思われますが、それでも現在と比べて学生アルバイトや主婦パートの応募がわずかばかり増える程度の効果にとどまりそうです。
現在のコンビニエンスストア業界は、活用できる技術は数あれどいわゆるフランチャイズ本部の考え方が旧態依然とした小売店の考え方から十分に脱却できておらず、
「手間ひま」をかけたサービスが過剰に称賛される状態が続いているおかげで、個別の店舗に心身共に負担を強いています。
私としては正直なところ、AIで省力化できる業務はどんどん無くす、もしくは減らしていくべきだと考えていて、
今後は少子高齢化で減少するのが確実視される人間の労働力をもっと有効に活用していかなければ、いくらコンビニエンスストアの需要が高まろうとそれに応えられる体制を維持できないと思っており、将来性も暗いものになってしまうと思っています。
コンビニの労働力とAIについてさらに考えると・・・
私が勤めているコンビニエンスストア業界において、AIにとって代わられないようにすべきことは特に無いと考えています。
実は皆さんが普通に利用して普通だと思われているサービスの多くが、決して多いとは言えない限られたスタッフの限られた労働力をフル稼働させて保たれているものだからです。
裏方はある程度AI化されますが、コンビニおでん、コンビニカフェ、郵便事業などはやっぱり受付での手作業なんですね・・。
ですのでコンビニエンスストア業界は他の業界に先駆けるつもりでAI化やセルフ化を進めて、労働人口が減っていく時代に備えなければいけません。
少し話が大きくなりますが、今後の日本の労働環境においてはコンビニエンスストア業界に限らず人手が十分に足りる仕事や業界はごくわずかになるのではないかと予想されるのではないでしょうか?
であればAIにとって代わられる、とって代わられないといった小さな目線にとらわれず、
人手を省けるところはどんどん省いて労働力の再編を進めていかなければ国内の産業の活力は目に見えて失われ、国際的な競争力も無くしてしまうのは明白なのではないでしょうか。
現在「移民」に関する議論は活発に行われているのかもしれませんが、「国民感情」に大きな影響を与える多文化の流入でもある移民より、
感情をもたず淡々と割り当てられたミッションをこなしていくAI化、機械化のほうが短期的にも長期的にも結果を残しやすいでしょうし、日本というお国柄にも合うのではないかと思われます。
私の思うコンビニエンスストアの最終形態は、そのコンパクトなパッケージを生かして「準無人化」の小売店が好ましいと思っています。
前述のとおり、商品管理や陳列、清掃など一部の業務はまだまだ人間による労働力に頼る必要があるとは思われますが、それ以外の業務は全面的に機械化を進めていくべきでしょう。
コンビニ業界に今後入りたいと思っている人へ
オンラインショップなど、小売の形もこの十数年で大きく変化を遂げましたが、かといって実店舗の存在が不要になるとは考えられません。
その理由はデイリー品など鮮度が要求される商品は、よほど都心部などの物流が極度に発達した地域でない限り実店舗にアドバンテージがある事と、
お客様が商品の実物を手に取って買い物を楽しみたいという欲求はそう簡単に無くなるものではないと考えているからです。
ですが、日本の人口減に伴ってコンビニエンスストア業界も自然淘汰・縮小は避けられないため成長産業とは言い難いものになるでしょう。
コンビニエンスストアでの仕事の魅力は実店舗である事で、商品の販売が目に見えてわかる事、社会のインフラ化が進んだことで無くてはならない存在になり、
必要とされている実感も感じられる事、様々な世代の従業員が少人数で和気あいあいと働きやすい環境である事など働くモチベーションはちゃんとある業界です。
正直なところ将来的に高い収入が期待できる業界ではありませんし、資格を取ることで収入面で有利になるような資格もありません。そもそも業界に入るハードルは低い業界でもあります。
私は今まで様々な接客に関わる仕事を経てコンビニエンスストア業界に入りましたが、コンビニエンスストアは働く年齢を問われにくい業界ですので、
若いうちは高収入や自己成長を目指して様々な事にトライして、人生に行き詰まったり地元で自分らしく生きていきたいと思った時にはコンビニエンスストア業界に身を投じてみるのも良いかもしれません。
かつてのイメージと異なり、コンビニエンスストアの利用客の多くは年配客になりました。そういった意味でも今後高齢化が進む日本にとっては必要度の高い小売業であるとも言えます。