AIでクリエイターの仕事は減るか?脚本家が業界の将来性を語る




脚本家として勤続5年目、31歳で年収500万円程度です。脚本家ないしクリエイティブ業界の現状としては、AIよりも徐々に表現の幅が狭まっていることの方が大きな問題でしょう。

ドラマやアニメ、小説やアート等のコンテンツは基本的に手に取ってくれるお客様が居てこそ成立する業界です。

お客様が望まないコンテンツは必然的に消えていく訳ですが、現在は人々の価値観が大きく変わりゆく時であるためか、細かな表現でも気に食わないと炎上するといったことが何度か頻発しています。

 

ただ、物語は人間にとって必要なもの。語る内容は時代の価値観によって異なることになったとしても、将来性がないということはありません。人間が生きている限り、クリエイティブ業界は形を変えながら存在するでしょう。

 

クリエイターの仕事の将来性はAIが登場しても安泰?

こうしたクリエイティブを支えるのは、クリエイターと呼ばれる人達の発想や思考です。『お客様を愉しませる』ことを第一義に考えているのが彼らですが、おそらくこの領域をAIが犯すということはないでしょう。

現在のAIでも自動で楽曲生成や二次元イラストの作成、小説執筆等が可能になりましたが、それらは基本的に「これまでに人間が作ったものを適当に組み合わせた」だけのもの。

 

確かに学習の基本は模倣にあると言われるように、クリエイター達も自分に影響を与えた作品を知らず知らずのうちに模倣しながら、自分だけのオリジナリティを見つけていきます。

 

この点AIは模倣の達人ではありますが、模倣のみでオリジナリティをまだ見つけていない状態です。

 

もし、AI独自のオリジナリティを手に入れたとしても、AIには「人間の好みや欲求にあったモノを提供する」というサービス精神が備わっていません。説話程度のものは作れたとしても、エンターテイメントを作ることは難しいでしょう。

クリエイターにとってAIは商売敵ではなく、手助けしてくれる仲間となるはずです。

 

AIにネタ出しに協力してもらったり、ひな形を作ってもらってクリエイターが「人間好みに」調整し直すなどの共助の形が取られることでしょう。それに伴い作業効率が増せば、ニーズも増えるはずです。人間は人間の、AIはAIの仕事をさせるのが重要でしょう。

 

AI導入後にクリエイターとして生き残るために必要なこと

2018 10 22 12h10 24 - AIでクリエイターの仕事は減るか?脚本家が業界の将来性を語る

クリエイティブ業界のAI導入事例として、アメリカの映画業界で導入されたAIスクリプトドクターがあります。

 

これは、出来上がった脚本の大筋を検査し、「過去のヒット作等の分析から得たデータ」を元にどの程度当たるかを分析するというものです。

 

ただ、実際にスクリプトドクターを利用して脚本の善し悪しを決めている訳ではありません。このAIはあくまでも目安であって、一番重要な価値判断は制作に携わる人間によって決められています。

 

これはプロデューサーや監督、脚本家の中にはAIには再現不可能な「勘」があるからです。この勘はいわゆるセンスや才能、美意識などと呼ばれる、とらえどころのないファジーな、AIには扱いきれない情報です。

 

つまり、この勘を養うことが、AI時代にクリエイターが生きていくための方法でしょう。

 

クリエイティブ業界の人々は、基本的にAIを脅威とは捉えていませんし、AI側のクリエイティブ研究も民間研究程度に留まっています。

 

それは「AIに抜かれる訳がない」という驕りの感情よりは、「AIにとって代わられることに怯えている暇があれば一つでも作品を多く世に出せ」という情熱の方が勝っているようです。

 

暑苦しい根性論のようになってしまいましたが、AIには情熱はありません。

 

常に同じテンションで物事を生み出し続けます。翻って人間のクリエイターは、情熱と冷静を行ったり来たりしながら、脳細胞の科学変化を待ち続けます。

 

両者に決定的な違いがあるとすれば、この感情の起伏の面でしょう。

 

人間の脳というのは、非常に繊細なコンピュータです。

 

この働きを完全に再現することは、現状の技術ではまだ困難だと言わざるを得ないでしょう。とは言え、油断している暇はありません。AIが発展しても負けないセンスを磨き続けることが肝要です。

 

今後もクリエイター業界はエンターテイナーが必要

2018 10 22 12h11 35 - AIでクリエイターの仕事は減るか?脚本家が業界の将来性を語る

クリエイティブ業界は様々な入口があります。何らかの賞レースで受賞したり、発表した作品がSNSで話題になって人気に火がついたり等、デビューの方法は事欠きません。

 

ではこれから10年後、20年後。世間にAIが広く認知され、様々な仕事が取って代わられているとしたらどうでしょう。おそらく、クリエイターを取り巻く状況は、AIが業界に進出してもほとんど変わらないでしょう。

 

基本的に、クリエイターはお客様を愉しませることを第一に作品を作っています。AIが人間に対してのサービス精神やホスピタリティを身につけない限り、この優位性は続きます。

 

つまり、この業界に入ろうと考えている方は、AIの脅威より何より、人間を愉しませることを一番に考えてください。エンターテイナーがこの業界には必要なのです。

 

自分の目で世間や社会を見て、人々の声を聞いて、過去と現在を知って、未来を予測する。現状の、単一の機能しか持たないAIには到底できない計算や思考能力が、皆さんの頭の中には備わっています。

 

情報をインプットして思考して創造的なアウトプットを行う。この一連のクリエイティブな動作を実行できるAIは今のところ存在しません。

 

ちなみに、そんなAIが誕生する日が来るとしたら、それは人類にとってのシンギュラリティででしょう。

 

クリエイターがAIに取って代わられることがあるとしたら、地球の盟主は人類ではなくAIになっているとしても過言ではない状況です。

 

この業界を志す方は、「AIが暴走する」等の作品に触れて、潜在的な恐怖を覚えている方も多いでしょう。AIを敵だと思っている方も少なくないことと思います。

 

ですが、AIはあくまでも人間の味方であり、手助けしてくれる存在です。怯えている暇があれば、勘や美意識、センスを磨くべきです。

 

どんな業界でも日ごろからの勉強は必要です。あなたは今何をしていますか?

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